メンタルヘルスケアで重要な役割を担う産業看護師
近年労働者の9割近くが、仕事のストレスや悩みを抱えているといわれています。そのため、各企業はメンタルヘルスケア対策を積極的に進めています。このメンタルヘルスケアにおいて重要な役割を担うのが、産業看護師(企業看護師)です。
産業看護師の仕事内容
産業看護師は、企業に設置された医務室や健康管理室などで働く看護師のことです。看護師としての知識を活かし、従業員の健康管理を行っています。産業看護師の主な仕事は、従業員の健康相談や健康診断、保健指導、病気や怪我の処置など。特に重要なのが、先程述べたメンタルヘルスケアです。企業看護師は従業員のストレスチェックや各種面談、心療内科医の紹介などを行い、うつ病をはじめとした心の病気の予防・ケアに努めます。社会貢献度の高い、非常にやりがいのある仕事です。
なお、産業看護師にはさまざまな種類があります。上記のように企業で働く看護師だけでなく、治験の調整役を担う治験コーディネーターや臨床開発モニター、イベント会場などで活躍するイベントナースなども、産業看護師に分類されます。
産業看護師は近年注目を集めている職種ですが、人数はそう多くないため、求人も少ない傾向にあります。競争を勝ち抜きたいのなら、看護スキルだけでなく、ビジネススキルやコミュニケーションスキルなども身につけておく必要があるでしょう。
産業看護師のメリット・デメリット
産業看護師として働くメリットは、ライフワークバランスを取りやすい点です。企業勤務の場合、基本的に勤務は日勤のみで、土日祝日がお休みになることが多いです。夜勤がある病棟看護師などと比べると、オンとオフのメリハリをつけた、無理のない働き方が叶います。ワークライフバランスを整えたい看護師におすすめです。ただ夜勤が減る分、収入は減ってしまう可能性があります。
メンタル・フィジカルともに、ゆとりを持って働ける点もメリットです。産業看護師は、基本的にデスクワークが中心です。医療現場のように慌ただしく駆け回ったり患者さんの介助を行ったりという場面はほぼないため、体力的な負担を軽減できます。また、一刻を争うような治療や患者さまの死に触れることがないため、精神的な負担も比較的少ない傾向にあります。ただし医療処置を行う機会は確実に減るため、看護スキルの向上は見込めないと思った方がよいでしょう。いずれは医療現場に復帰したいと思っている看護師は、転職後に苦労する可能性があります。
産業看護師は、基本的に1企業に1名から2名程度配置されていることが多いです。病院のように大勢の看護師と関わるわけではないので、人間関係のトラブルや悩みなどは比較的発生しにくいでしょう。その点、仕事の悩みなどを相談・共感できる相手はつくりにくいかもしれません。